2022年12月21日、全国の自治体を対象に、内閣府関係人口創出・拡大モデル事業「放課後企業クラブ」の取り組みを周知する「実施事業者によるウェブ説明会」を開催しました。
「放課後企業クラブ」は、令和3年度より、地域と企業をつな研がつなぎ、両者が組織と組織で関わる仕組みとして展開してきた事業です。地域からは自治体職員や住民の皆さん、企業からは社員の皆さんが参加し、オンラインと現地で交流を重ねながら、双方向コミュニケーションによって、一つのテーマに共に取り組む「セレンディピティプログラム」を行っています。
説明会では、本事業に参加する6つの自治体の担当者より、実施内容と成果をご報告いただき、関係人口の取り組みに関心を寄せる全国約126の自治体、152名の皆さんに、参加をお申し込みいただきました。多数のご参加、誠にありがとうございました!
冒頭でご挨拶いただいた、内閣府 地方創生推進事務局の髙橋一成参事官からは、本事業の成果として、自治体と企業と中間支援組織の三者による包括連携協定締結の推進が、デジタル田園都市国家構想総合戦略の中に、大きく盛り込まれた旨をご紹介頂くとともに「皆さんの取り組みへの熱意に敬意を表します。本事業が大きく結実することを願っています」と激励の言葉を頂戴しました。またあわせて、コロナ禍における地方創生には「仕事があること」が不可欠であり、「関わりしろを見出すこと」が鍵となると強調されました。
続く実施事例報告では、岡山県瀬戸内市、滋賀県長浜市、静岡県南伊豆町、福岡県豊前市、山梨県都留市のご担当者と、北海道鷹栖町からは町長自らご登壇いただき、それぞれの事例と成果をお話しくださいました。
瀬戸内市では、大手商社社員と市の若手、中堅職員が参加。市の業務改善の観点からDXや問い合わせ等のナレッジ化がテーマとなり、改善案を創出することを目標に、双方の活発なやり取りが行われました。企画振興課の仁科さんは「若手職員の考えていること、意欲を垣間見る機会になりました。ここで出た改善案は、市長へプレゼンする機会を設けることも検討しています。採用された場合は、提案した職員がプロジェクトリーダーとなって進めていくなど、さらによい機会が作れるのではないかと考えています」と、手応えをお話しくださいました。
続く長浜市では、特に少子高齢化の進む田根地区が舞台となりました。地区の未来を考えるため、大手電機機器メーカーの社員と地域住民各8名が集い、小学校の活性化や空き家活用をテーマに取り上げました。市民活躍課の寺村さんは「地域内だけでは出てこない考えに触れることができ、民間企業のノウハウと住民の想いをうまく取りまとめることができました。住民には地域を振り返り、将来を考える機会に、企業社員には地域に貢献できる実感が持てる機会になったと思います」と手応えを語り、参加した企業社員の家族にも輪が広がったことも紹介しました。
南伊豆町での実施にあたっては、隣接する松崎町職員も巻き込んだ、共同開催の形式をとるという新しい試みが行われました。各町から2名の職員と大手商社の社員5名が参加し、町役場の庶務、経理、人事の取り組み方をテーマに、行政と民間の違いを学びながら進めていきました。地方創生室の山口さんは「隣接する自治体間の業務の違いに気づくことができた点も成果の一つです。企業の方とは予め、オンラインで交流を持つことで、関係構築が進み、現地開催のときにはすでに顔見知りのように接することができました。空き家を見つけて住んでみたいという方も出るなど、関係人口創出という意味でもよかったと思います」とお話しくださいました。
ニコン日総プライムとつな研との三者包括連携協定を締結した豊前市からは、企業のノウハウを活かしたイベント開催事例「カメラ×森林セラピー」をはじめとする、取り組みの広がりが報告されました。市の観光協会が主催した同イベントには、初めて市を訪れる参加者もあり、直接的な関係人口の創出に貢献する取り組みとなりました。総合政策課の郡司掛さんは「行政単独ではできないイベントを作ることができました。連携協定を結ぶことで、分野横断的な課題の共有を行いながら、具体的な事業に落とし込むことも可能となり、緩やかにしなやかに関係構築することができています」と実感を語りました。
市内に3つの大学を擁し、多くの学生が暮らす都留市では、その環境を活かし「教育」をテーマに、まちの活性化を目指しています。令和4年度には、「学びの未来づくり事業」の一環として、探求型学習の推進拠点(法人)設立を行いました。同法人に、つな研も含む三者包括連携協定を結ぶ、ニコン日総プライム社員が、企業版ふるさと納税(人材派遣型)の制度を利用して着任、事業の推進に貢献しています。企画課の森嶋さんからは「合意形成やプログラム設計などの民間のノウハウで、法人が自立、自走できる体制づくりが進められています。東京大学のフィールドスタディとも連携するなど、芋づる式に大きな取り組みに発展し、今後も楽しみにできる事業です」と手応えを示しています。
鷹栖町の谷町長からは、「灯台下暗しを実感する目から鱗の発見だった」との印象的な感想が寄せられました。同町が、大手商社の若手社員とともに実施したセレンディピティプログラムでは、まちの基幹産業である農業と、多様な人たちの就労支援を組み合わせたまちの活性化が提案されました。「忖度なしの俯瞰した視点と若い目線から、新しい考えが得られました。農業研修センターを地元の子どもたちの教育現場として使う、農業の人手不足を町内の多様な人たちの就労支援により解決する、という視点が新しく、来年度の事業に向けて詰めの打ち合わせを行う予定です」と、町長自ら熱意を語って頂きました。
本説明会ではこの他にも、つな研代表の一井より、事業概要とスキーム、事業参加者から寄せられた感想等の紹介を行わせていただきました。特に本年、自治体の皆さんから「参加する企業側のメリットや目指すゴール」を問われる場面が多くあったことについて、「社員に社外交流や越境体験をさせたい」という企業側の声を紹介。人材育成や社会貢献活動の一環として、積極的に参加の意向を示される企業の視点を、重ねてご説明させて頂きました。
中間支援を務めるつな研でも、自治体と企業の皆さん双方のお話を伺いながら、丁寧にマッチング、支援させて頂きます。ぜひ、参加をご検討ください。
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