まちづくり講演会が開催されました!
12月15日に奈義町文化センターでまちづくり講演会「山形県金山町街並みづくり百年運動」が開催されました。講師は、山形県金山町商工景観施策推進員の西田徹さん。
山形県金山町は人口約6千人で奈義町と同じ規模の町です。気候、風土が林業に適しており「林業の町」として知られています。昭和59年から「街並み(景観)づくり100年運動」に取り組み、一貫した理念、哲学のもとに“ぶれない”景観づくりを進めることで、全国有数の美しい街並みを創り上げてきました。
まず、奈義町グランドデザインチームの山田裕貴さんによる金山町の視察報告。景観デザインの視点から金山町の美しい風景の数々を解説してくださいました。 地域住民の生活に根付いた風景は、観光として訪れても町のなかを散歩したくなる魅力に溢れています。町民と行政が一体となって30年という長い年月をかけて少しずつ整備して出来上がった、まさにふるさとの懐かしい風景です。
「美しい自然・清い心の町金山」がどのようにして出来上がっていったのか。西田さんのお話がはじまります。
美しい景観づくりのはじまりは、昭和32年に住みよい町づくりを実現するための懇談会で、「住居や環境を清潔にしましょう」という話し合いが行われたときでした。その後、当時の町長がヨーロッパに三か月間視察に行き、美しい街並みや自然に深い感銘を受けたことを機に、本格的な美しい景観づくり施策が始まっていきます。
昭和50年代に入ると、景観づくりに東京藝術大学関係者が関わるようになり、学識経験者という立場からもアドバイスを受けるようになったといいます。奈義町でも熊本大学大学院准教授の星野裕司さん率いるグランドデザインチームに関わっていただいています。
金山住宅の普及と金山大工の技術の向上を目的とした「金山町住宅建築コンクール」や、自然と調和した居住環境の構築運動である「街並みづくり100年運動」、個性豊かな街並みの基準に合致している建築をすれば助成金がもらえる「金山町街並み景観条例」等、さまざまな取り組みを行われました。特に「景観条例」が施行されてからは、地域住民が自主的に景観づくりを取り組み、いたるところで美しい景観づくりが展開されたそうです。
100年以上も前にイザベラ・バードが金山町を訪れた際に感銘を受けたと言われる「ロマンチックな街並み」は、町民と行政による地道な活動によって、いまも観光客を魅了しつづけています。西田さんの穏やかなで力強い口調からは、金山町の美しい自然を地道に守りつづける強い決意が伝わってきました。
奈義町にも美しい風景がいたるところにあります。ここまで地域住民が自分の住んでいる土地の景色を愛している地域は珍しいのではないかと思います。それだけ那岐山の景色は素晴らしいですし、風景を活かした町づくりに対する地域のみなさんのモチベーションは高いのではないでしょうか。奈義町の自然をより奈義らしくする、50年先を見据えた力強い町づくり、楽しくなってきました。
(菅原)