岡山県奈義町あなたの『楽しい』を見つけよう!~やさしい暮らし体験ツアー~が開催されました!
3月17日~18日の2日間、岡山県奈義町を舞台に、体験ツアーを実施しました。
豊かな自然、先進的なアート表現、奈義での暮らしを堪能している人たちの話など、奈義町にある様々な「楽しい」を一泊二日のツアーで体験してもらいたい、そんな気持ちで今回のツアーを企画し、主に関東首都圏から20代~60代の計10名の方々が参加してくださいました。
ツアー当日、空は気持ちのいい晴天でした。
新大阪駅で参加者のみなさんと合流し、バスに揺られることおよそ2時間で、奈義町に到着。
岡山の端にあるまちですが、近くに中国自動車道が通っている為、大阪から2時間で来れるのが魅力です。
到着後は早速町内観光。
建設中のまちの玄関となる建物や、町内の医療、飲食店、スーパーなどの施設、目玉である現代美術館など、奈義での暮らしをイメージしてもらえるように町内を案内して回りました。
美術館館長が、奈義、そして現代美術館への想いを語っています。
美術館の3つの常設展示のひとつ、「太陽」荒川修作+マドリン・ギンズ作。
日常では味わえない、五感がくすぐられる空間に、みなさん興味津々の様子。
奈義では、こういったアートが住民の身近にあり、暮らしの一部として溶け込んでいます。
定期的にここでダンスや音楽演奏などのアート作品と他分野の芸術を融合した催しが開かれ、その度に町外からも多くの人が足を運んでくれています。
現代美術館、そしてまちのシンボルである那岐山を背後に写真撮影。雲ひとつない青空に、まちの景色がとても映えます。
町内をひと通り観光した後は、みなさんの親睦を深め、かつ介護と演劇の相性の良さを感じてもらえるワークショップの時間です。
講師である菅原直樹は、関東出身で、現在は奈義町を拠点に、介護と演劇を結び付けた活動をしているナギカラのスタッフ。平田オリザ氏主宰の「劇団青年団」に所属している俳優であり、自身も「劇団OiBokkeShi」の主宰で、演劇を通じて「老い・ボケ・死」への向き合い方を伝えています。
「遊びリテーション」と呼ばれる、遊びとリハビリを掛け合わせた簡単なゲームからスタートし、徐々に身体と心をほぐしていきます。
遊びリテーションの次は、実際に介護者役と被介護者役に分かれて、実際に演じてみるゲーム。みなさんユーモアたっぷりの演技を披露し、ゲームを通じて介護者、被介護者双方の心の揺れ方を感じていきます。
ワークショップ終盤はすっかりリラックスされている様子。
その日互いに初対面だった参加者のみなさんも、このワークショップを通じて少しずつ距離が近づいている印象でした。
1日目の締めくくりは、現代美術館のレストラン棟を改修して昨年7月にオープンしたピッツェリア「La gita(ラジータ)」で先輩移住者との懇親会を実施。
「実際移住してみて暮らしはどうですか?」
「仕事はありますか?」
「休日は何して遊んでるんですか?」
など、普段聞くことのできないぶっちゃけた質問を含め、心ゆくまで話していただきました。
先ほどのワークショップですっかり打ち解けた様子で、みなさんワイワイととても盛り上がり、楽しんでいらっしゃるようでした。
ツアー2日目。
みなさん気持ちのいい朝を迎えられたそうで、表情がすっきりされていました。
夜のあまりの静けさにびっくりしたとの声もちらほら。
1泊2日といっても、関東までの帰りも考えると奈義での時間はお昼くらいまで。
早速2日目の行程へと進みます。
まずは、碁盤や将棋盤をつくっていた工場跡地をリノベーションしたアートギャラリー「FIXA」の見学です。もともと中学校美術の教師をされていた町民の方が、3年間という長い時間をかけてひとりで改修したというお話に、参加者のみなさんも驚きを隠せませんでした。
ギャラリーオープンまでの道のりを、写真とともにオーナーに説明いただきました。
奈義町現代美術館の企画展示とも連動していくので、アートのまちとして打ち出している奈義町のひとつの名所になることは間違いありません。
その次は、今年度、町の空き家改修事業でリノベーションされた築100年の古民家を見学しました。
ここの運営をされている町内団体の代表者に案内してもらいながら、これからここでどんな取り組みをしていくのか、どんな場所になっていくのか、今後の展望を聞かせていただきました。
地元住民や子どもたち、町外から来てくれた人たちの憩いの場として、これから奈義を代表するひとつの場所になる予定です。
2軒の町内施設を巡った後は、2日目の目玉である町民のみなさんとの交流です。
場所は町内の子育て支援施設であるなぎチャイルドホーム。いつもたくさんのお母さんや子どもたちでにぎわっていて、まちぐるみで子育てをしている奈義町の中心的な場所です。
今回はここで、町民のみなさんと一緒に山菜取りや蕎麦打ち体験、採ってきた山菜や地元食材を使ってお昼ご飯づくりをします。
「ふきのとうは、花が咲いたら美味しくなくなるんで。」
山菜取りや自然遊びが得意な町民先生にご指導いただきながら、着々と山菜を見つけていきます。
採ってきた山菜を食べれるように下ごしらえ。子どもたちも一緒に手伝ってくれて、とてもにぎやかです。
こちらは蕎麦打ち体験の様子。先ほど紹介した築100年の古民家を運営している町内団体の頼れるおっちゃん達が、熱心に、楽しく蕎麦打ちを教えてくれています。
厨房では、奈義のお母さんたちから料理の仕方を教えてもらいながら、みなさんせっせと料理中。天ぷらのいい香りがたまりません。
庭では参加者が子どもたちの前でつくしを炒めています。
参加者の方もすっかり馴染んでいて、ここの職員かと見間違えるくらいです(笑)。
出来上がった料理をみんなで食べる。
「この天ぷら美味いなあ。」
「この蕎麦もすごく美味しい。」
自分たちで見つけて採ってきた食材だから、一層美味しく食べられます。
料理を指導してくれた町民のみなさんも嬉しそう。
遠路はるばる来てくれて、ここで採れた食材を喜んで食べてもらえたら、その地の人としては嬉しいものです。
あっという間に時間は過ぎて、間もなく帰る時がやってきました。
バスの時間ギリギリまで、町民のみなさんと交流する参加者の姿があちらこちらに見られました。
やっぱり、人との出会いや関わり合いっていいなあ、とその姿を見て思います。
自然や歴史、文化が豊かだったり、名の知れた名所があったり、土地の魅力はそれぞれですが、全国的に地方創生の動きが進んでいく中、やはり大きな魅力はその地に住む「人」だと思っています。
しかし、ただ「人がいい」と言っても、実際に接点を持てなければ、それも単語としてぼんやり埋もれてしまうとも思っています。
なので今回は、奈義に住む人を知り、たっぷりと関わってもらえるようなツアーにしたいと企画を練りました。短い時間の中、改善できるところも多々見つかったり、もっとできることがあったかもしれませんが、参加者のみなさんの表情を見て、いい時間を過ごしてもらえたのではないかと思っています。
また、ツアーを実施するために町民のみなさんと協力しあう中で、私自身も奈義の良さに気づくことができたのは、ツアーを行った副産物として大事にしたいと思っています。
気づきと反省は次に生かし、ここに住む人の顔が見える町、関わり合える町を目指して、これからもそんな機会をつくっていきます。
(草加)