観察~視点の置き場~
6月21日、奈義小学校4年生と6年生を対象に、演劇的手法を用いたコミュニケーション教育の授業が行われました。
今年度初めてこの授業を受ける児童たちですが、兄弟姉妹や友だちから聞いていて、かなり楽しみにしていたようです。
講師は昨年度からの取組でカリキュラム作成等を担ってくださっている田野邦彦さん(NPO法人PAVLIC理事長)。
午前中3,4時間目に4年生から。
講師からの話や説明への反応が最初からすごい盛り上がりです。
初めにウォーミングアップとして、バースデーラインといって、全員で誕生日順に並んで一つの円の作る、というものをしました。ただし言葉を使ってはいけません。
2,3人の違いはありましたが、おおむねきれいに並ぶことができました。
次には、棒人間じゃんけん、といって、じゃんけんをして、負けたらその場で棒のように立っている、次に誰かが来てじゃんけんをしようとするまで動けない、というワークをしました。その発展で、負けたら変なポーズや顔をして動いてはいけない、というワークに移行しました。二人組でじゃんけんしているので、動いている人と変人間とは半分半分のはずなのですが、なぜかどんどん変人間が増えてくる、という現象が発生しました。ポージングを楽しんでいたようです。
次に、1から30、といって6,7人で円を作り、1番の人から30までを数え、30は全員で言って、その場に座る、というワークを行いました。
その発展として、3のつく数字と7のつく数字が出てきたら、数字は言わず手を叩く、とルールを追加して行いました。ルールが追加されると、なかなかスムーズに進まず、グループ内での助け合いが様々な形で行われていました。
次はジャスチャーゲーム。グループごとに異なるお題を渡され、他のグループへはお題を知らせずに、そのお題ををグループで黙って演じ、見ている人にわかってもらおうとするものです。お題は卓球、花火大会、スイカ割、ジェットコースター、お化け屋敷、早押しクイズ等です。
各グループで作戦を練って、練習し、発表を行います。
その発表をしたものに、さらにグループごとにキーワードが加えられて、元のお題のジェスチャーに加えてブラッシュアップします。
例えば、花火大会へはタイムカプセル、ジェットコースターには卒業、お化け屋敷には仲直り、といったものです。
作戦会議でアイデアを出し合い練習をしながらより良いものへと練習を重ねたものを発表します。
ゲーム的に行われるワークの中で、多様な意見をどのように合意形成していくか、というトレーニングがしっかり盛り込まれたものとなりました。
6年生は午後5,6時間目。
さすが最上級生と思わされる、4年生とはまったく違う静かな立ち上がりでした。がワークが始まると、一気に歓声があがり盛り上がりました。
まずはじゃんけんゲームから。あいこを5回したらしゃがむ、というルールで2クラスある児童が混じり合いながらじゃんけんをしていきます。
次はグータッチ歩きといって、任意のペアでグータッチの状態でしゃべらずに会場内を歩き回ります。
講師の「スタート」や「ストップ」の号令に合わせて行動するのですが、「ジャンプ」「空いてる片手で床をタッチ」「どちらか一人だけジャンプ」「別の人とペアを作る」といった指示が加わっていきます。
次は寄せ鍋ゲーム。全員に一枚食材が書かれたカード(例:にんじん チーズ シャケ 豚肉 等)が渡されます。児童は会場内を自由に歩き回り、講師から人数の指示が出されます。集まったらその場に座り、カードを見せ合い、そのカードに書かれている食材を使ってできる、世界で一番美味しい料理、を考え発表する、というものです。
3人、5人、8人と行いました。
頭を突き合わせているのは熱中している証です。
最後におまんじゅう。
6,7人のグループを作り、グループごとに円形になって立つ。全員右手をグーの形(おまんじゅう)、左手を手のひらが上向きのパーの形(お皿)にして、グーの形の右手を右隣りの人の手のひらの上に載せます。これがスタートの形。
講師の合図で、次は左手がおまんじゅう、右手がお皿になるように変える、ということを何度か交互に繰り返します。
次に、講師の合図を聞いたら、何かしら動き(例 ジャンプ スクワット 1回転 など)を入れて右手と左手を入れ替えます。これを何度か行った後、各グループごとにオリジナルを考えて発表してもらいました。
いまどき?なのか軽いステップが入ったり、グループの円が回転したりと、わずかな時間ながら、それぞれの工夫がありました。
放課後は短時間ながらも教員研修を行いました。再来年度には奈義町の先生方による演劇的手法を用いたコミュニケーション教育の授業を実施することを目指しているので、今年度は、先生方への理解を一層深める、という狙いです。
授業のプログラムや生徒の様子を参加した先生から、授業を見ていない先生へ伝え、それから情報交換をする、というスタイルで行いました。
小学校での研修会で話題が集まったのは、児童の観察ということでした。
教育の成果のひとつとして、できないものができるようになる、ということはたいせつなことですが、そのためには何ができて何ができないのか、その判断は本当にそうなのか?という前提が必要です。そのためには、徹底的な児童の観察が必要です、という再認識を深めました。ワークをしてその児童は何ができたか?できるようになったか?という視点も必要ですが、どうふるまっているのか?なぜそうふるまっているのか?という視点での観察が必要だということでした。
次回は10月26日の予定です。
(黒瀬)