ちょいワルじいさんプロジェクト始動!

菅原です。

奈義町でちょいワルじいさんプロジェクトが始動しました。いきなりちょいワルじいさんと言われても「なんぞや」と思うかもしれません。 高齢の男性は女性に比べて、介護や支援を要する状態になったときにデイサービスなどの介護・予防サービスの利用を好まず、閉じこもりがちになることが多いと言われています。こういった高齢男性特有の課題を自分ごととして取り組んでいただける「ちょいワルじいさん」を募集し、ちょいワルじいさんと共に奈義町のどこかに「じいさんの楽園」を作っていこうという、一件ふざけているようでかなり真面目なプロジェクトです。

こちらが募集チラシです。 さて、奈義町のちょいワルじいさんたちは集まってくれるのでしょうか? ドキドキしながら作戦会議の当日を迎えました。

おおお!

魅力的なちょいワルじいさんが集まってくださいました! 「ちょいワルじいさん」のチラシに描かれているイラストは映画「七人の侍」が元ネタなのですが、奇しくも参加者7名。奈義町を救う「七人のちょいワル」。映画化を目指してがんばりましょう(笑)。

自己紹介では「定年退職してから地域のために何かをしたいという思いが強くなってきました。今回ちょいワルじいさんのチラシを見て『これだ!』と賛同しました」「男性というものはじいさんになっても子どもの心を持っているもんです。いくつになってもイタズラをしてみたい!」とアツい思いを語ってくださいました。

つづいて、俳優で介護福祉士の菅原による「老いを楽しむためのワークショップ」。老いを受け入れるヒントは遊びにある!? 誰でも知っている遊び「じゃんけん」を、バリエーションを変えていくつかやってみました。実は、こんな子どもじみた遊びをやったら、ちょいワルのみなさんは気分を害してしまうのではないかと内心冷や冷やしていました。

しかし、このステキな笑顔! 女性はこういったギャップに惚れるんだな、と一気ににちょいワルのみなさんの虜になってしまいました。このクールでキュートなおじさんといつか演劇をしてみたい……。奈義での夢が一つできました。

ここからが本題です。 奈義ファミリークリニックの松下先生による高齢男性の課題についてお話がありました。なぜ高齢男性は介護を要するときにデイサービスなどの介護サービスの利用を好まず、閉じこもりがちになってしまうのか? 以前、松下先生が奈義町在住の高齢男性を対象に研究を行ったところ、以下のようなことがわかりました。

・男性は頑固で出不精で、会話が苦手な人が多い(男性としての性質)

・農業が忙しい、遊んでいる暇がない(仕事・役割へのこだわり)

・できなくなる自分を受け入れられない(老いの受容)

・農業以外に趣味がない(趣味の存在)

といった内的要因です。また、外的要因として、デイの内容も重要だということがわかりました。男性はやはり「女性に負けたくない、恥をかきたくない」という意識が強いため、女性参加者と競争を強いる場面は極力少なくした方がいい。 ちょいワルのみなさんはうんうんと頷かれていました。

松下先生の問題提起が終わった後は、いよいよ作戦会議です。これから「じいさんの楽園」を作るために我々は何をすべきなのか。進行役は、生活支援コーディネーター植月さん。

さきほどの「奈義の高齢男性は農業が仕事で、農業以外に趣味がない」という問題。農業ができなくなってしまったとき、男性は閉じこもりがちになってしまうのかもしれません。

そこで60代の男性に文化活動への呼びかけをし、農業以外の趣味を持っていただくことが大切になってきます。

「文化センターの和室は、もともと高齢者のサロンとして作られた。あそこで囲碁の会がはじまったが、最近は人が少なくなってきた」

なるほど。文化センターを拠点に高齢者の文化活動をさらに活発に行っていく。超高齢社会において文化センターの役割はとても大きいのかもしれません。

さらに「一人で農業ができなくなってもみんなでシェアをできる場所があったらいいのではないか」といったアイディアも出ました。身体が動かなくなってしまっても、アドバイザーの役割を担ってもらう。農業一筋の人が多いのであれば、年老いても農業に関われる場所を作る。

「最近、年寄りがワーッと寄ってくる事業がないなぁ。以前、運動公園にグランドゴルフ場を作る事業があって、あれは町内の年寄りが集まってみんなで作った。あのときはみんなすごかった。ああいう事業ができるといいなぁ」

議論が白熱し、夢が広がったところで、第一回目の作戦会議は終了。奈義を救う「七人のちょいワル」の幕が上がりました。作戦会議が終わったあと、ちょいワルのみなさんはロビーで集まって興奮冷めやらぬ様子でお話をされていました。これからどんなドラマが待っているのか楽しみです!