ぽっかぽかで演劇ワークショップを開催中!
ナギカラの菅原です。
10月22日、台風が迫りくる中、ぽっかぽか演劇ラボが開催されました。ぽっかぽかは、障害のある子どもを持つお母さんたちが中心になって立ち上げた、奈義町のあたらしい居場所。ぼくは6月から月1回、演劇ワークショップを実施させてもらっています。
ぽっかぽかでの演劇ワークショップは、幼稚園児から20代前半まで、障がいの程度もさまざまで、途中、喧嘩がおこったり、泣き声が聞こえたり、ベイブレードをやったり、毎回ちゃんとワークショップとして成立するのかドキドキしながら行っています。
最近はだいぶ慣れてきて、いい意味でテキトーにプログラムを進めています。別に全員が参加する必要はないし、気が向いたら参加してもらえれば、という感じで。
この日は台本を使った芝居づくりを体験してもらいました。
ぽっかぽかで演劇ワークショップを始めたころは、メンバーができること・できないことに執拗にこだわって、プログラムの組み立てにとても苦戦していました。
しかし、今はあんまりこだわらなくなってきました。当初、難しいだろうと思っていた台本を使った芝居づくりも面白そうだからやってみよう、と思えるようになりました。
毎回、ぽっかぽか演劇ラボは感動と驚きに満ち溢れています。
みなさんにグループに分かれて、台本を書いて、芝居を作ってもらったのですが、最初から芝居づくりに参加しないメンバーが何人かいました。ダンスをしたり、ボールで遊んだり、DSをやったり。
台本を書く時間、ファシリテーターのぼくは結構暇なので、芝居づくりに参加していないメンバーとダンスをしたり、ボールで遊んだり、DSを覗いたりしました。芝居づくりをする人も、それぞれ自分がしたいことをする人も、「いまここ」を共有している。にぎやかであたたかな雰囲気の中でワークショップは進行していきます。
そうこうしているうちに発表の時間です。
普段のワークショップであれば、発表をする際は出演する側と観劇する側の意識をしっかり持ってもらいます。しかし、ぽっかぽかでは、発表のときに芝居づくりに参加していなかったメンバーが次々と舞台に登場してきます。
発表しているお兄ちゃんの元に、芝居づくりに参加していなかった弟くんが「お兄ちゃん、ぼくのイヤホン使わないでよ」と乱入してきます。
普段のワークショップでは「発表の邪魔をしている」と思われてしまうかもしれませんが、ぽっかぽかでは違います。舞台に立ったら、登場人物の一人です。出演者も観客も彼をきちんと登場人物の一人として受け入れて、物語の新たな展開を楽しんでいます。
一生懸命作った完成された作品を邪魔されるのは気持ちのいいことではありませんが、この場では、ゆるく作った作品にハプニングが起こることで「心地のいい空間」が完成されます。こういう演劇もいいな、と演劇人として目から鱗が落ちた瞬間でした。
こんなことが自然と起きてしまうぽっかぽかはやっぱりすごいです。現実と虚構の境目を軽々と越えてしまう彼ら彼女らと、どうすればもっと「いまここ」を存分に楽しむことができるのか実験を繰り返していきたいと思います。
(菅原)