きらりと光る、奈義の植物たち ③春のスミレ

みんなの庭 造園チーム・佐々木です。

少し間が空いてしまいました。みんなの庭の設計は着々と進んでいます。
施設の建物が完成しましたので、5月20日にはオープンハウスも予定されています。素晴らしい建物ができましたので、ぜひお運びください!
2月、3月は事務局で千葉の公園を視察したり、町民有志のみなさんと地元の方が管理する徳島県阿波池田の「ふらっとスクエア」という広場の視察に出かけたりしていました。
今回は、少し前になりますが、4月上旬のスミレの風景をお届けします。

昨年4月、僕ははじめて奈義町にお邪魔しました。王将の跡地はもちろん、山の駅や古いお屋敷にお邪魔して「コセ」を見せていただいたりして、みんなの庭に植える植物の構想を練るためでした。しかし、それ以上に僕の心を捉えて離さない花がたくさん咲いていました。それがスミレです。

言わずと知れた春の風物詩の野草ですが、のちの観察会で地元の方から「あれは、根が深いんで、厄介じゃ」と聞かされて、雑草扱いされるほど、奈義にはたくさんスミレがあることにびっくりしました。どうも僕は昔からスミレには目がなく、見つけるとついつい写真を撮ってしまうほどなのですが、関東の街中ですと、ちらほらあるばかりなので、見つけると嬉しくなる花です。
ところが、どうでしょう。奈義の田んぼの畔には、そこら中にスミレが咲いているではありませんか・・・
これでは雑草扱いされても無理はありません。いったいどのくらいの種類のスミレがあるのか? 仕事の合間に探してみました。

まずは、こんな田んぼの畔にあったのは、アカネスミレです。茜の空をイメージするちょっと赤めの紫が特徴です。ちょっと華奢なカンサイタンポポもたくさんありました。関東のタンポポは大きい種類が多いので、優しい感じがします。

次に、山の駅に伺いましたら、芝生にスミレが咲いていました。ややこしいのですが、「スミレ」というとたくさんあるスミレ類の総称と「スミレ」という種類と両方あるのです。これは比較的街中に多いスミレで、道路の隙間にも生えていたりします。

山の駅は川沿いに散策路がありますが、そちらに歩いていきましたら、なにやらピンク色のかたまりが・・・!! すごい! ナガバタチツボスミレの群落です。斜面にびっしり咲いています。関東ではタチツボスミレという青っぽいスミレが多いのでその点も新鮮ですが、このボリュームには感動するばかりです。しかも一つ一つ、花の形や模様が違います。狭い範囲にこれだけ個性豊かな花が現れるのもスミレの魅力です。

他にも、少しクールな青紫が魅力のコスミレや、鮮やかな赤紫のシハイスミレなどさまざまなスミレが山の駅では見られます。

どうしてこんなにスミレが多いのか?? 厳密には分かりませんが、古くから田んぼや山が大事にされていることで、開発されずに残っているということと、奈義のみなさん特有のこまめな草刈りによって背丈の高い草がなく、春に日当たりがよいこと、そして奈義特有の湿気がスミレを育んでいるのではないかと思います。すこし時期がすぎてしまいましたが、ぜひ奈義でスミレ探し、楽しんで見みてください! 那岐山を登っていけば、まだ咲いているはず・・・

(造園家・佐々木知幸)