ぽっかぽかメンバーが紡ぐ物語

12月15日にぽっかぽか演劇ラボを行いました。
この日は人数が少なめだったので、みんなでじっくりと物語を作っていきました。物語の作り方は、6月のぽっかぽか演劇ラボで行った手法を使いました。3枚の写真を元にみんなでアイディアを出し合って物語を作っていきます。

以下、出来上がった物語です。

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朝、おばあちゃんちで目覚めた姉妹。
妹、そらちゃんは小学4年生。姉、くもちゃんは中学2年生。

そらちゃん「今日は海に行く日だ!」
くもちゃん「朝からテンション高すぎ。うるさい」
そらちゃん「だって今日はじめて海に行くんだもん」

二人は朝ごはんを食べて、すぐに出かけました。
海に行く途中、二人はおじさんに話しかけられました。

おじさん「いまからどこにいくの?」
そらちゃん「……うみ」
おじさん「そっか、おじさんも海行こうと思ってたんだ。一緒に行かない?」
くもちゃん「いいです」
おじさん「同じ方向なんだから」
そらちゃん「いやだ。やめください」

そのとき、マラソンをしている、中学2年生のせいやが走ってきました。

くもちゃん「助けてください!」
せいや「いやいや、ゴールできないもん」

せいやはそのまま走っていってしまいました。せいやは11人のランナーのトップを走っていたのです。
そらちゃん、くもちゃんも走って逃げました。

次の日。
駅のプラットフォームにそらちゃんとくもちゃんはいました。
昨日は海でいっぱい楽しんで、今日は家に帰る日です。
電車を待っている二人。

そこに部活動の仲間と話しながらせいやがやってきました。

くもちゃん「昨日のマラソンのひと?」
そらちゃん「……」

せいやは仲間と来月の大会の話をしていて、くもちゃんそらちゃんに気づいていないようでした。

終わり

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この物語が生まれそうで、生まれない感じが、リアリティーがあって面白いですね。
そらちゃんくもちゃん、と、せいやくん。
彼らが出会うことによって物語が始まるのかと見せかけて、とくに始まらず、ただすれ違うだけで終わり。
そらちゃんくもちゃん目線で物語は進行していますが、11人のランナーのトップを走るせいやくんの物語もかなり気になります。

こういったことは現実の世界では数えきれないほど起こっていることです。
普通、物語は出会いとその先を描くはずなのですが、ぽっかぽかメンバーの物語には出会いだけでその先はありません。
物語としてはかなりそっけなく感じられるのですが、一方で、ユーモア、あたたかさのようなものも感じられます。それは、同じ世界を生きている人からといって同じ物語を生きる必要はないんだよ、世界にはいろいろな物語があってみんなそれぞれの物語を生きていいんだよ、というメッセージを発しているからかもしれません。

ぽっかぽかオリジナルの物語ができました。
この物語を元に長編ドラマができるのか、それはちょっと自信がありません(笑)。しかし、これからも既成概念にとらわれずに、自由に物語を紡いでいけたらと思います。

(菅原)